【教案】てしまう(後悔)-みんなの日本語第29課
導入
今日はくもりです。もしかしたら、雨が降るかもしれません。
ですから、女の人は傘を持って行きました。
でも、電車に忘れました。
とても悲しいです。
傘を電車に忘れてしまいました。
男の子はお父さんにカメラを借りました。とても高いカメラです。
ですが、男の子は落として壊しました。泣いています。
お父さんに借りたカメラを落として壊してしまいました。
男の子は好きな女の子に告白しました。
でも、男の子は泣いています。とても悲しいです。
彼女に振られました(彼女と別れました)。
彼女に振られてしまいました。
男の子はアイスを買ってもらいました。
ですが、男の子はアイスを落としました。泣いています。とても悲しいです。残念です。
アイスを落としてしまいました。
男の人は焦っています。スマホがありません。さっきまでポケットにありました。
多分、盗まれました。
スマホを盗まれてしまいました。
女の人はモスクワを旅行しています。地図を見ていますが、困っています。
道がわかりません。
道に迷ってしまいました。
意味
意図せずある行為を行い、残念・後悔の気持ちを表す。
接続
動詞のテ形+てしまう
例文
1. 地図アプリを使ったのに、道に迷ってしまいました。
2. 電車が遅延したせいで、授業に遅れてしまいました。
3. メールアドレスを間違えてしまいました。
4. 父にもらったコップを落として割ってしまいました。
5. ストレスで食べすぎて、太ってしまいました。
6. 楽しみにしてたドラマが終わってしまいました。
7. せっかくブログの記事を書いたのに、消えてしまいました。
ポイント
「~てしまう」には後悔と完了の意味があるので、導入の際は場面設定に注意する
1. 朝寝坊したので、会社に遅刻してしまいました(残念)。
2. 昨日友達にマンガを借りましたが、1日ですべて読んでしまいました(完了)。
完了の場合は「全部」「すっかり」「全て」などの副詞と一緒に使われることが多いです。
後悔の意味の「てしまう」は負の意味の動詞がよく使われる
「てしまう」は自分が失敗やミスをしたときに、そのことに対しての後悔や残念な気持ちを表す文型なので、負の意味がある動詞がよく使われます。
以下を参考にしてください。
よく使う動詞:忘れる、割る、死ぬ、壊れる、落とす、なくす、間違える、道に迷う、盗まれる、注意される、怒られる、遅れる、寝坊する、遅刻する、辞める、諦める、消える…
「無意志動詞+てしまう」は基本的に後悔・残念の意味
文脈・状況的条件によって、表す意味は変わりますが、
「意志動詞+てしまった」は動作の完了
「無意志動詞+てしまった」は後悔・残念
を表すことが多いです。
1. 休み時間に宿題をやってしまいました。
2. 友達にもらったお土産のチョコレートをすべて食べてしまいました。
3. 友達に借りたデジカメを落として壊してしまいました。
4. 昨日寒かったので、風邪を引いてしまいました。
5. アイスクリームを落としてしまいました。
1~2は完了、3~5は後悔・残念の意味を表しています。
では、次の場合はどうでしょうか。
A:明日提出の宿題やった?
B:うん、さっき休み時間にやっちゃったよ。
A:明日の提出の宿題なんだけど、先生がやらなくていいって言ってたよ。
B:え?!さっき休み時間にやっちゃったよ…。
「意志動詞+てしまう」なので、基本的には完了の意味を表しますが、文脈によっては後悔の意味にもなります。
「てしまう」
「てしまう」は過去の形で使うことが多いんですが、以下のような使い方もあります。
(職場で)
A:これから一杯どう?
B:すみませんが、明日の会議の資料を作ってしまいたいので…(近い将来における動作の完了)。
(母と子の会話)
A:早く寝ないと、明日学校に遅刻しちゃうよ(後悔・残念な気持ち)!
B:はーい…。
縮約形「ちゃう/じゃう」
親しい人や目下と話すときは「~てしまう」のほかに「~ちゃう/じゃう」が使われます。
1. 「てしまう」⇒「ちゃう」
食べてしまう ⇒ 食べちゃう
寝てしまう ⇒ 寝ちゃう
起きてしまう ⇒ 起きちゃう
寝坊してしまう ⇒ 寝坊しちゃう
2. 「でしまう」 ⇒ 「じゃう」
読んでしまう ⇒ 読んじゃう
死んでしまう ⇒ 死んじゃう
遊んでしまう ⇒ 遊んじゃう
飲んでしまう ⇒ 飲んじゃう
例)あ!お皿を割ってしまいました。すみません。
⇒あ!お皿割っちゃった。ごめん。
あ!寝坊しちゃいました。
⇒あ!寝坊しちゃった。
A:どうしたの?
B:彼とけんかしちゃった…。
「みんなの日本語」では、話し言葉で使われる「ちゃう/じゃう」は紹介されていませんが、生徒さんに合わせて一緒に導入してもいいと思います。
練習
1 「てしまう」はaとb、どちらの意味で使われていますか。
(a)たくさん働きましたから、病気になってしまいました。
(b)漢字の宿題を全部やってしまいました。
1.( )資料を作ってしまいますから、ちょっと待ってください。
2.( )急ぎましたが、電車は行ってしまいました。
3.( )地図を見ましたが、道を間違えてしまいました。
4.( )会議の資料は今朝、コピーしてしまいました。
5.( )どこかで誕生日にもらった手帳を落としてしまいました。
この文型が扱われている教科書
私がこの文型を教えるにあたってよく使っている教科書を中心に載せてます。
GENKI第18課
⇒書籍紹介はこちら。GENKIはイラストを多用した練習、ペアワークやグループワーク形式のロールプレイやゲームなどのアクティビティが充実しているので、練習問題だけ使うのもおすすめです。
⇒書籍紹介はこちら。扱われている文型一覧もあるので、興味ある方はぜひ読んでみてください。ちなみに、「絵で導入・絵で練習」の「ておく」に関するイラストは全部で10枚あります。新米日本語教師だったときにかなり役に立った1冊なので、これから日本語教師を目指す方はぜひ購入しておくことをおすすめします。
⇒書籍紹介はこちら。初級のレベルで扱われる文法の練習問題が90あります。私は必要な文法のページだけを宿題に出してます。会話文や文章を読んで、全体の流れを把握し、意味を理解した上で、目標の文型を使って答えるような、文脈・意味重視の練習問題なので、難易度は高めです。
当ブログでもロシア語話者向けに「ておく」の文型をロシア語で説明しています。
⇒【JLPT4】грамматика ておく/とく (te oku/toku)
いろいろな例文を載せているので、教案づくりの参考にしてください。
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