【教案】会話に挑戦!中級前期からの日本語ロールプレイ 第4課(断る)
使用する教材
当ブログでも書籍紹介しているので、興味がある方はこちらへ。
「断る」に関するロールプレイがある教材
→第4課「依頼・受ける・断る」
→第5課「断る」
どちらも場面がビジネスですが、教案を練る際にとても参考になるのでおすすめです。
授業の流れ
1. 目的(Can – do)の提示
この課の活動の目的を確認します。
この課の学習目的は以下の通り。
1. 相手からの誘いや依頼を上手に断ることができる。
2. 目上の人と丁寧な言葉で話すことできる。
学習者と活動の目的を共有することで、授業のゴールが明確になります。

学習目標をしっかり伝えることって大切です。
2. ウォームアップ
ロールプレイへの動機づけや雰囲気作りをするために、テーマに沿った質問をします。各課の最初に1つか2つあります。この課での質問は2つ。
1. 身近な人(友達、目上の人)から誘われたことや依頼を受けた経験があるか。
2. 目上の人からの誘いや依頼を断ったことがあるかどうか、どうやって断ったか。
ポイントは、誘いや依頼を断るということがごく身近なテーマであることを認識させることです。
社会人ではあれば、「上司に飲みに誘われた」「急ぎの仕事を頼まれたが、これから取引先へ向かわなければならない」などいろいろなシチュエーションが考えられると思います。アルバイトであれば、「アルバイトの仲間からシフトの交換をお願いされた」とかありますよね。
友達ならどうでしょうか?「友達に苦手なカラオケに誘われた」とか、「サークルの飲みに誘われた」とか「何か貸してと頼まれた」というシチュエーションが考えられるかもしれません。「休日のんびりしたかったのに、いきなり連絡が来て遊びに誘われた」なんて経験、けっこうありませんか?
そんなとき、どうやって断りますか?
国によって違うと思いますが、日本の場合、相手にけっこう気を遣いませんか?
相手に気を遣いながら、相手をなるべく傷つけないようにうまく断らないといけません。
友達同士なら、相手との関係性で断り方がかわってくると思いますが、目上の人なら相手との関係をうまく保つためにも話し方をしっかり勉強しなければ、どんなに日本語がキレイに話せてもダメなんですよね。
ここまでできれば掴みはOKです。
3. 自分の力だけでロールプレイに挑戦
グループレッスンであれば、ペアに分かれてもらいます。「A」と「B」のロールプレイをそれぞれに渡し(事前に教科書のロールカードを用意しておく)、お互い見せあわないように言います(インフォメーションギャップ)。内容(役割、状況、すること)が確認できたら、ペアでロールプレイをしてもらいます。このとき教師はあくまでサポート役なので、答えを教えたりはしません。
ペアで練習が終わったら、みんなの前で発表してもらいます。
発表者以外の学習者はただ聞くだけではなく、自分のロールプレイと何が違うのかを考えてもらいましょう。また、自分の言いたいことがどれぐらい話せたのかも聞きます。
ここで大切なのは学習者の「気づき」です。
学習者の中には「これぐらいわかるし」とか「なんでこんなテーマなの?もっと難しい文法勉強したいのに」な~んて、授業開始後すぐにモチベーションが下がる人もいるんですが、こうやって実際にロールプレイをやらせてみると、意外とできないんですよね~。それを気付かせてあげることが大切です。
学習者の例(自力で課題をやってもらってます)
学習者の例を挙げます。これを読んでどう思いますか?
先生:ナスチャさん、今、ちょっといい?
ナスチャ:はい、高橋先生。何ですか。
先生:明日、早明大学に行ってる卒業生と一緒に食事をすることになってるんだけど、ナスチャさんも一緒にどう?確か早明大学に進学したいって言ってたよね?卒業生から大学のこといろいろ聞けると思うから、いい機会じゃないかな。
ナスチャ:先生、すみません。明日は友達のアルバイトの代わりをしなければならないので、行けません。
先生:え、あ、そうなんだ。
ナスチャ:はい。
先生:まあ、急だったからね。それじゃ、また今度機会があれば声掛けるね。
ナスチャ:はい、お願いします。
どうでしょうか?下線部分に違和感を感じませんか?外国人フィルターが入ってしまうと、「まあ、外国人だし…」ってなるかもしれませんし、「これぐらいできていれば上出来」ってなるかもしれません。
自力で課題をやって、発表してもらったら、次は実際に会話例を確認します。
4. 会話例や場面ごとに必要な語彙・表現を紹介する
次にロールプレイの会話例を確認します。確認の仕方ですが、学習者のレベルに応じて以下の3つのやり方が考えられます。
1. CDを聞きながら、空欄を埋める(ディクテーション)。
→オーソドックスな方法です。
1. 会話例のスクリプトにある空欄にどんな言葉が入るのか予測しながら記入させ、CDを聞く。
→自分で考え空欄を埋め、答え合わせをする方法。少し難しい。
2. 会話例のスクリプトを見ないで、会話の流れと出てくる文型やキーワードに注意しながらCDを聞いてもらう。
→学習者のレベルによっては、このやり方が効果的。
大切なのは、自分の力だけでロールプレイをしたあとにすぐに聞かせること。自分のロールプレイと会話例の何が違うのか。流れはどうか。大切な文型やキーワードはあるかどうかなど、どこに注意するのかしっかり学習者に伝えること。そうしないと、ただ聞くだけになってしまいます。
会話例を確認する際、会話の流れをしっかり頭に入れてもらうことが大切です。
誘いを断る場合の会話の流れは以下のとおり
1. 誘いに対するお礼(例:誘ってくださってありがとうございます。)
2. 断りの前置き(例:でも、あのう、今日ですか?)
3. 理由の説明(例:実は、今日はアルバイトが入っていまして…。)
4. 残念な気持ちを言う(とても行きたかったんですが…。)
5. (再度残念な気持ちを伝え、)会話を終える(例:また今度誘ってください。)
ここで、再度上の学習者の例を確認してみてください。どうして違和感があったのかわかると思います。誘いを断るというだけなら、確かに達成できているんですが、相手が目上の人の場合、丁寧に断らなければならないですよね。
ちなみに、ロシアでは日本のような断り方はあまり見られません。会話例をみてもわかると思いますが、すぐに断ることが多く、そのあとに理由を説明するか、まずは理由を説明してから、断るというパターンがほとんどです。
5. 再度ロールプレイに挑戦
学習者の例
これは、私が学習者と実際にやってみたロールプレイです。なお、ロールプレイの内容は自分で考えました。
役割:日本の大学で勉強する留学生
状況:先輩に花見に誘われる。
すること:週末はアルバイトが入っているので、先輩に丁寧に断りなさい。
高橋先輩:あ、ナスチャさん、今ちょっといい?
ナスチャ:あ、はい、先輩。何でしょうか。
高橋先輩:実は今週の土曜日、サークルのみんなで花見に行こうって話になってるんだけど、よかったらナスチャさんもどう?桜見たがってたよね。
ナスチャ:先輩、誘ってくださってありがとうございます。えっと、今週の土曜日ですよね?
高橋先輩:うん、ちょっと急なんだけど。
ナスチャ:すみません、実はその日アルバイトが入っていまして…。
高橋:アルバイトか~。それじゃ、仕方がないね。
ナスチャ:とても行きたいんですが…。
高橋:いやいや、急だったしね。また今度誘うよ。
ナスチャ:そうしていただければと思います。本当にすみません。
どうでしょうか?大分自然になったと思います。ここまでできるようになれば、学習目標は達成できたんじゃないでしょうか。
ロールプレイのテーマ
私が考えたロールプレイをいくつか載せておきます。

高橋:リーザさん、今ちょっといい?
エリザベータ:はい、何でしょうか。
高橋:実は、来週の土曜日にオンラインで日本語を勉強しているロシア人とロシア語を勉強している日本人で交流会をすることになったんだ。
エリザベータ:交流会ですか。面白そうですね。
高橋:それで、もしリーザさんも時間があればどうかなって思って。
エリザベータ:来週の土曜日ですか?
高橋:はい。モスクワ時間の10時に始める予定なんですが。
エリザベータ:10時ですか…。
高橋:難しそうかな?
エリザベータ:実はこの日通訳の仕事が入ってまして…。
高橋:あ、仕事なんですね。それじゃ、難しいね。
エリザベータ:せっかく誘ってくださったのに、申し訳ありません。
高橋:いえいえ、急だったからね。それじゃ、また今度交流会が開かれることになったら、声掛けるね。
エリザベータ:はい、そうして頂けると幸いです。誘ってくださってありがとうございました。

先輩:あ、カーチャさん、ちょっといい?
カーチャ:はい、先輩、なんでしょうか。
先輩:実は今年の夏休みにサークルのメンバーみんなで富士登山に行かないかって話になってるんだけど、カーチャさんもどう?まだ行ったことないって言ってたよね?
カーチャ:富士登山ですか!楽しそうですね。はい、前から行きたいと思ってたんです。
先輩:じゃあ、決まりかな?
カーチャ:えっと、夏休みですよね?7月でしょうか、8月でしょうか。
先輩:8月上旬にしようかって話になってるんだけど、行けそう?
カーチャ:あ、8月なんですね…。実は8月はロシアに一時帰国することになってるんです。もう航空券も買ってしまって…。
先輩:あ、そうなんだ。それじゃ、今回は難しいね。
カーチャ:せっかく誘ってくださったのに、申し訳ありません。
先輩:いやいや、こっちこそもっと早く誘えばよかったね。一時帰国から帰ってきたら、いろいろ話し聞かせてね。
カーチャ:はい、もちろんです。本当に申し訳ありません。私の分も楽しんできてください。写真楽しみにしています!
ロールプレイは学習者に合わせて内容を考えてあげましょう。ロールプレイをして終わりにするのではなく、かならず会話例を用意し確認させることが大切です。

私は学習者が自信もって話せるようになるまで、毎回授業の最初に1つか2つロールプレイをしてます。とにかく練習あるのみ。
まとめ
いかがでしか?今日は、『会話に挑戦!中級前期からの日本語ロールプレイ』の「断る」という課について取り扱いました。現在私はオンラインでのプライベートレッスンを中心に日本語を教えているんですが、こちらの教科書と『まるごと』を交互にやることが多いです。会話の授業を考える際におすすめは『中級カルテット』の各課にある「話す」のパート。こちらもロールプレイが中心でとても役に立ちます。
当ブログでも書籍紹介しているので、興味がある方はこちらへ。

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