初級の文型を一通り学習し、文法は「わかる」けど、いつ使うのか「わからない」…そんな学習者って多いですよね。
初級でよく扱われる教科書に『みんなの日本語』がありますが、これは典型的な文型(文法)シラバス。いくら4技能の全てを総合的に学べる教科書といっても、文型シラバスは知識の積み上げが中心で、コミュニケーション活動が二の次になってしまいます。
そこで必要になってくるのが会話トレーニングなんですが、会話教材ってたくさんありすぎて困りますよね~。
ということで、会話教材選びで迷っている日本語教師におすすめしたいのが本日ご紹介する『会話に挑戦!中級前期からの日本語ロールプレイ』です。
【日本語教師必須アイテム】会話に挑戦!中級前期からの日本語ロールプレイ
どんな本?
本のタイトルにあるように中級前期や初級が一通り終わった学習者を対象にしています。トピックは22あり、「自己紹介」「先生を飲み会に誘う」や「誘いを断る」、「医者に症状を説明する」、「財布をなくす」など実生活で役立つものばかりです。ロールプレイを通して、各場面でどんな言葉や表現を使えば良いのかを学ぶことができます。
構成
大まかな構成は以下の通りです。
1. 目的(Can – do)の提示(⇒活動の目的の確認)
2. ウォームアップ(⇒ロールプレイへの動機づけや雰囲気作り)
3. 自分の力だけでロールプレイに挑戦(⇒教師は学習者をサポートする)
4. 会話例や場面ごとに必要な語彙・表現を紹介する
5. 再度ロールプレイに挑戦
この教科書の良い点
各トピックの構成ですが、まず「目的(Can – do)」が提示されています。つまり、学生たちに各トピックを勉強することで、何ができるようになるのかを明確に示すことができます。次に、「ウォームアップ」でトピックについて話し合い、学習者の興味を引き出します。それから、ロールプレイにチャレンジします。
場面ごとに必要な語彙・表現、会話例を導入してから実際にロールプレイに挑戦することが多いと思いますが、こちらの教科書では、まずは自分の力だけでロールプレイをさせます。
もちろん、いきなりロールプレイをするので会話がスムーズに発展しなかったりしますが、学習者はこの活動の過程で自分に何が足りなかったのか、どんな語彙や表現が必要だったのかを気づくことができます。
日本語教育では、この「気づき」が今大切にされてますよね。
それから、場面ごとに必要な語彙・表現、会話例を確認していって、最後にもう一度ロールプレイに挑戦するようになっています。トピックごとに5~6つほどロールプレイが用意されています。
使ってみた感想
実際に教室で使ったことがありますが、トピックが日本で生活する中が実際に出会う可能性の高い場面や状況が多いので、学習者が楽しんで取り組んでいました。この教科書では、教師はあくまでサポート役で、学習者主体の授業が求められます。授業と聞くと、どうしても教師が一方的に学習者に知識・技能を教える…というイメージが先行してしまいますが、学習者が中心となり、自ら「気づき」の過程で自分に足りないものや表現・語彙を認識することで、場面と結びつけられた言語表現がはっきりと印象付けられ、実践的な運用力を身に着けることができるようになります。
教科書内には「気づきシート」も用意されているのもGOOD。
唯一の難点は、海外校では生の日本人社会に触れていないこともあり、必要な部分は教師側が事前情報として補う必要があります。自国と比較して比べてみるのもおもしろいかもしれませんね。要するに、工夫次第というところでしょうか。
最後に
中級前期や初級の文法がひと通り終わった学習者で会話教材を探している方、『会話に挑戦!中級前期からの日本語ロールプレイ』おすすめです!!是非、手に取ってみてくださいね!!
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